
住宅宿泊事業法 (民泊新法) とは?
旅館業法との違い
民泊を開業したいと考えているものの、住宅宿泊事業法(民泊新法)と旅館業法との違いがよくわからないという方は多いのではないでしょうか。実は、民泊を開業するためには、住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく届け出を自治体に行う必要があります。
そこで、本記事では、住宅宿泊事業法(民泊新法)の概要から旅館業法との違いや、住宅宿泊事業法(民泊新法)のメリットまで解説いたします。さらに、民泊の開業をご検討されている方に向けて、民泊を始める手順も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
住宅宿泊事業法(民泊新法)とは
住宅宿泊事業法(民泊新法)とは、2018年に施行された日本の法律で、民泊の運営を規制・管理するための枠組みを定めたものです。この法律は、旅行者のニーズに応じた新しい宿泊施設の提供を促進するとともに、地域住民や周辺環境への配慮をも目的としています。
つまり、民泊市場を適切に規制し、地域社会との調和を図りながらも民泊事業を健全に運営できるようにすることを目的につくられた法律です。
住宅宿泊事業法(民泊新法)の主な内容
住宅宿泊事業法(民泊新法)の主な内容を以下にまとめます。
■事業者登録制
民泊を営むには、事業者として自治体に登録し、登録証明書を取得する必要があります。無許可で民泊を運営することは違法となるため、必ず登録証明書を取得しましょう。
■営業日数の制限
民泊の営業日は、年間最大180日までに制限されています。これは、利用者(ゲスト)を滞在させることができる最大日数のことです。毎年4月1日から翌4月1日までの間で180日を超えないようにする必要があります。
また、民泊の施設ごとにカウントするため、複数運営している場合は各施設ごとに180日営業することができます。
■安全基準の設定
民泊を運営するには施設の安全基準を満たす必要があります。例えば、火災報知器の設置や避難経路の確保など、宿泊施設としての最低限の安全対策を行うことが求められます。
■近隣住民への通知義務
民泊を運営する場合は、一定の地域では運営する前に自治体や近隣住民への通知を義務付けている場合があります。民泊の運営方法や所在地によって異なりますが、地域住民とのトラブルを避けるための配慮が必要になります。
■管理者の配置
運営者が不在の時間帯においても、宿泊施設の管理責任を負う「管理者」を設置する必要があります。宿泊者からの問い合わせに対応したり、トラブルが発生した場合に迅速に対応できる体制を整えておかなければなりません。
管理者の配置義務も自治体ごとに異なる場合があるため、運営する地域の規制を事前に確認するようにしましょう。
■罰則規定
規定を守らない場合には、罰金などの罰則が科せられることがあります。特に、無許可で営業を行ったり規定を超えて営業したりした場合、罰則の対象になるため注意が必要です。
住宅宿泊事業法(民泊新法)と旅館業法との違い

住宅宿泊事業法と旅館業法は、どちらも宿泊施設に関する法規制ですが、その対象や目的が異なります。
目的と対象
■住宅宿泊事業法(民泊新法)
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主に「住宅」を利用した宿泊事業を規制する法律です。個人が自宅や空き家などを短期間宿泊施設として貸し出すことを目的としています。
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事業者が一定期間・短期間の宿泊を提供することを規制し、民泊を合法的に運営できるようにするための法制度です。
■旅館業法
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旅館やホテルなどの伝統的な宿泊施設に適用されます。
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事業者が営む宿泊施設全般に関する規制を行い、宿泊料金や施設の設備、衛生基準、安全基準などを定めています。
規制内容
■住宅宿泊事業法(民泊新法)
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民泊の営業には自治体への届出が必要です。
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宿泊日数の制限(年間180日まで)があり、提供できる場所や宿泊者の数にも制限があります。
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設備や衛生面については、火災警報器の設置など、最低限の基準が求められますが、旅館業法ほど厳格ではありません。
■旅館業法
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施設の種類ごとに異なる登録が必要で、営業を行うためには都道府県や保健所への登録が義務付けられています。
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衛生管理や建物の構造に関して非常に厳格な基準が設けられており、寝具 の洗濯、清掃、換気、消火設備の設置などが求められます。
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料金や提供されるサービスに関する規制もあります。
営業形態の違い
■住宅宿泊事業法(民泊新法)
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個人が営む場合が多く、住宅の一部を貸し出すことが主となります。
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不特定多数の宿泊客を対象とし、基本的には短期滞在となります。
■旅館業法
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宿泊施設を商業ベースで運営する業者が対象となります。宿泊者を迎え入れ、食事やアメニティなどの様々なサービスを提供します。
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一般的に長期間または定期的に営業される施設です。
法律の適用範囲
住宅宿泊事業法(民泊新法):主に「住宅」として使用されている建物が対象。
旅館業法:商業施設として利用されるすべての宿泊施設が対象。
このように、住宅宿泊事業法(民泊新法)は、個人が自宅などを短期間宿泊施設として貸し出すことを目的とした法律で、規制内容は比較的緩やかです。
一方、旅館業法は、ホテルや旅館などの伝統的な宿泊施設に適用され、厳格な基準と規制が設けられています。
それぞれの法律は、運営する施設の形態や営業スタイルによって適用されるため、どちらを選ぶかは運営方法によって決まります。
住宅宿泊事業法(民泊新法)のメリット
住宅宿泊事業法(民泊新法)は、個人や事業者にとって、民泊を合法的に運営するための法的枠組みを提供するため、さまざまなメリットがあります。
ここでは、民泊経営を行うメリットも併せてご紹介します。
合法的に民泊を運営できる
住宅宿泊事業法の最大のメリットは、個人や事業者が民泊を合法的に運営できることです。Airbnb(エアビーアンドビー)などのプラットフォームを通じて、住宅を短期間貸し出すことが法的に許可されるようになり、違法行為や罰則を避けることができます。
収益の拡大
自宅や空き家を民泊施設として貸し出すことができるため、収益が増えることもメリットの1つです。特に、都市部や観光地に住んでいる場合、観光客からの需要を取り込むことができ、副収入を得る手段にもなります。
空き家活用の促進
空き家や空き部屋が有効活用できるため、住宅資産の再活用が促進されます。空き家の放置は、治安や景観に悪影響を及ぼすことがありますが、民泊を運営することで住宅の管理やメンテナンスが行われることとなり、地域活性化にもつながります。
観光業への貢献
民泊施設は観光地の宿泊施設不足を補うことができ、地域の観光業の発展にも貢献します。特に、観光客が地方や小規模な地域に滞在することが増えることで、観光地の経済が活性化することが期待できます。
また、民泊事業者は、ゲストに地元の飲食店や観光スポットを紹介することが多く、その結果、観光業や地元経済の活性化につながることもメリットとして挙げられます。さらに、観光業だけでなく、地元の農産物や特産品、土産物業界などへの貢献にもつながるといえるでしょう。
規制が明確化されて安心
住宅宿泊事業法(民泊新法)により、民泊運営に関する法的な枠組みが整備され、営業するために必要な届出や条件が明確化されています。そのため、事業者はルールに従って安全に営業することができ、法的リスクを減らすことができます。
短期的な運営が可能
年間180日までの宿泊日数制限がありますが、その範囲内であれば柔軟に運営することができます。特定の季節や期間にだけ宿泊施設を提供することができるため、自宅利用や長期賃貸といった他の用途との兼ね合いも調整しやすくなります。
旅行者に対する親近感と体験提供
民泊の魅力の1つは、地元の文化や生活様式を体験できることです。宿泊者はホテルや旅館では得られない、より個人的でユニークな体験を楽しむことができるため、旅行者にとっても魅力的な選択肢となります。
簡単な手続きで運営開始
住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく民泊は、特に小規模な運営者にとって、旅館業法に比べて手続きが簡便です 。届出を提出するだけで営業が可能であり、許可制ではないため、比較的簡単に事業をスタートさせることができます。
民泊を始める手順

民泊を始めるためには、いくつかの重要なステップがあります。その流れを解説いたします。
1. 民泊の運営方法を決める
宿泊施設の種類:自宅の一部を貸し出す場合や、別に用意した物件を貸し出す場合があります。どのように行うのか、運営方法を検討しましょう。
ターゲット層の決定:どのようなゲスト(外国人観光客、ビジネスマン、家族連れなど)をターゲットにするかを考えると、必要な設備やサービス内容も明確になります。
2. 許可を取得する
住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく届け出:民泊を運営するためには、各自治体に届け出を行う必要があります。この届出を行うことで、法的に民泊を営むことができるようになります。
必要な書類:消防法や建築基準法の基準を満たしているかなど、住居が民泊として使えるかの確認を行う必要があります。
3. 施設の整備
清掃と整備:ゲストが快適に過ごせるように、部屋の清掃や必要な設備(ベッド、キッチン、トイレ、シャワーなど)を整備します。
安全対策:煙探知器や消火器など、消防法に基づく安全設備が必要です。
4. 予約・管理システムを整える
予約プラットフォームの利用:AirbnbやBooking.comなどのオンライン予約サイトに登録することが一般的です。これらのサイトを通じて、ゲストの集客を行うことができます。
運営管理ツール:予約状況やゲスト情報を管理できるツールを活用することで、効率的に運営することができます。
5. 必要な税務手続き
確定申告:民泊で得た収入は、確定申告の対象となるため、所得税や消費税の申告が必要になります。きちんとした運営を行うためにも、税理士と相談すると良いでしょう。
6. ゲスト対応の準備
チェックイン/チェックアウトの手続き:ゲストとのやり取りやチェックイン、チェックアウトのルールを決めておく必要があります。
ゲストへの案内:ゲストの満足度を向上させるために、施設の利用方法や周辺情報を案内すると良いでしょう。
7. 地域のルールやマナーを守る
近隣住民との関係:騒音やゴミ問題など、近隣住民への配慮も重要です。トラブルを避けるためにも、事前に近隣住民とコミュニケーションを取ることをおすすめいたします。
8. 宣伝とマーケティング
SNS活用:集客には様々な方法がありますが、InstagramやFacebook、TwitterなどのSNSを活用することも検討してみましょう。また、コストはかかりますが、プロに外注するのも1つです。
口コミ:現代においては、SNSなどによる口コミの拡散力が強力であるため、ゲストからの口コミが集客に繋がります。そのため、丁寧な対応と清潔な部屋を保つことが重要です。
これらのステップを踏むことで、民泊を始める準備を整えることができます。最初は大変かもしれませんが、ゲストの満足度を意識して運営することで、順調に運営できるようになるでしょう。
まとめ
本記事では、住宅宿泊事業法(民泊新法)の概要から旅館業法との違いや、住宅宿泊事業法(民泊新法)のメリット、さらに、民泊を始める手順についてもご紹介しました。
住宅宿泊事業法(民泊新法)や民泊を運営するメリットは多岐に渡ることをご理解いただけたのではないでしょうか。本記事が民泊の開業をご検討されてい る方にとって、お役に立てれば幸いです。

